
【問1】相殺
AがBに対して100万円の金銭債権を有し、BがAに対して100万円の同種の債権を有する場合について、Aの債権が時効によって消滅した場合、Aは、Bに対して相殺をすることができない。
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【解答】
×
時効によって消滅した債権であっても、
時効の完成前に相殺適状であれば、
債権者は相殺をすることができます。
まず、「AがBに対して100万円の金銭債権」と
「BがAに対して100万円の同種の債権」を対立する債権と呼びます。
一般的に、対立する債権を有した時点で当事者(AおよびB)は、相殺されてお互いの債権は消滅したものを考えます。
その考えを保護しようということで、結果として、時効によって債権が消滅しても、
時効消滅前に相殺適状(相殺できる状況)であれば、消滅した債権を自働債権として相殺することができるわけです。
※自働債権とは、「相殺させてください!」と相殺を主張する側がもつ債権です。
本問では、Aから相殺を主張することができるかが問われているので
Aの債権(Bから100万円を取り立てる権利)が自働債権です。
逆に
Bの債権(Aから100万円を取り立てる権利)は受働債権です。
相殺についての詳細はテキストP72
本問の「時効と相殺」についてはP74です。
用語については頭に入れていきましょう!
【問2】免許の要否
Aが借金の返済に充てるため、自己所有の宅地を10区画に区画割りして、不特定多数の者に反復継続して売却する場合、Aは免許を受ける必要はない。
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【解答】
×
宅建業者としての免許が必要な場合と必要でない場合とを区別するには、まず、「宅地建物」「取引」「業」の定義を覚える必要があります。原則、「①宅地もしくは建物」の「②取引」を「③業」として行っていれば、免許は必要で、①~③のどれか一つでも欠けていれば、宅地建物取引業に該当せず免許は不要です。
この考え方は絶対に頭に入れて、さらに使えるようにしましょう!
このルールにしたがって、本問を見ると、Aは
「①宅地」を「③不特定多数の者に反復継続」して(業)、「②売却(取引)」をしています。
つまり、①~③すべてを満たしているので、Aは免許を受ける必要があります。
免許が必要かどうかは上記ルールに基づいて答えを導くようにしましょう!
「Aが借金の返済に充てるため」というルールに関係ない記述は受験生を惑わすための記述です。
【問3】農地法
相続により農地を取得する場合は、法第3条第1項の許可を要しないが、
相続人に該当しない者に対する特定遺贈により農地を取得する場合も、同項の許可を受ける必要はない。
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【解答】
×
相続・包括遺贈・相続人に対する特定遺贈により農地を取得する場合、3条許可は不要です。
一方、相続人以外の者への特定遺贈については例外ではなく、原則通り、3条許可が必要です。
「包括遺贈又は相続人に対する特定遺贈」により農地や採草放牧地を取得した場合は、
「相続」の意味合いが強いので、例外として3条許可は不要です。
(ただし、遅滞なく、農業委員会への届出が必要)
一方、相続人以外の者に対する特定相続については、
「譲渡」の意味合いが強く農地取得者が農業のノウハウを持っていない可能性があるので、
原則通り、農業委員会への許可が必要としています。
※「遺贈」とは、遺言によって、無償で財産を与えることを言います。
※「包括遺贈」とは、遺贈する財産を特定せず、遺産の全部又は一部を文字どおり包括的に遺贈することを言います。
※「特定遺贈」とは、財産(農地等)を具体的に特定して遺贈することを言います。