次の1から4までの記述のうち、民法の規定、判例及び下記判決文によれば、正しいものはどれか。(判決文)
1.権利に対する違法な侵害に対抗して法律に定める手続によらずに自力救済することは、その必要の限度を超えない範囲内であれば、事情のいかんにかかわらず許される。
2.建物賃貸借契約終了後に当該建物内に家財などの残置物がある場合には、賃貸人の権利に対する違法な侵害であり、賃貸人は賃借人の同意の有無にかかわらず、原則として裁判を行わずに当該残置物を建物内から撤去することができる。
3.建物賃貸借契約の賃借人が賃料を1年分以上滞納した場合には、賃貸人の権利を著しく侵害するため、原則として裁判を行わずに、賃貸人は賃借人の同意なく当該建物の鍵とシリンダーを交換して建物内に入れないようにすることができる。
4.裁判を行っていては権利に対する違法な侵害に対抗して現状を維持することが不可能又は著しく困難であると認められる緊急やむを得ない特別の事情が存する場合には、その必要の限度を超えない範囲内で例外的に私力の行使が許される。
1・・・誤り
判決文の「私力の行使は、原則として法の禁止するところである」というのは、自力救済は原則禁止ということを指します。
例外として、判決文では「緊急やむを得ない特別の事情が存する場合においてのみ、その必要の限度を超えない範囲内で許される(自力救済もOK)」と示しています。
よって、本肢の「事情のいかんにかかわらず許される」は誤りです。
詳細解説については、個別指導で解説します!
2・・・誤り
本肢の「賃貸人は賃借人の同意の有無にかかわらず、原則として裁判を行わずに当該残置物を建物内から撤去することができる」というのは、「自力救済をすることができる」ということです。
つまり、判決文に記載されている「自力救済の禁止」の原則に反するので、誤りです。
ちなみに、本肢は、緊急やむを得ない特別の事情が存する場合と言える事情についての記述はないです。
3・・・誤り
本肢の「賃貸人の権利を著しく侵害するため、原則として裁判を行わずに、賃貸人は賃借人の同意なく当該建物の鍵とシリンダーを交換して建物内に入れないようにすることができる」というのは、「自力救済をすることができる」ということです。
つまり、判決文に記載されている「自力救済の禁止」の原則に反するので、誤りです。
ちなみに、本肢は、緊急やむを得ない特別の事情が存する場合と言える事情についての記述はないです。
又は著しく困難であると認められる緊急やむを得ない特別の事情が存する場合には、その必要の限度を超えない範囲内で例外的に私力の行使が許される。
4・・・正しい
これは、自力救済の禁止の例外の内容そのままです。
裁判を行っていては権利に対する違法な侵害に対抗して現状を維持することが不可能又は著しく困難であると認められる緊急やむを得ない特別の事情が存する場合には、その必要の限度を超えない範囲内で例外的に私力の行使(=自力救済)が許されます。
令和3年(2021年)12月試験分:宅建試験・過去問
内容 | |
---|---|
問1 | 自力救済(判決文) |
問2 | 相隣関係 |
問3 | 成年被後見人 |
問4 | 売買契約 |
問5 | 代理 |
問6 | 物権変動 |
問7 | 相続 |
問8 | 民法総合 |
問9 | 売買契約・賃貸借契約 |
問10 | 抵当権 |
問11 | 借地権 |
問12 | 借家権 |
問13 | 区分所有法 |
問14 | 不動産登記法 |
問15 | 都市計画法 |
問16 | 都市計画法(開発許可) |
問17 | 建築基準法 |
問18 | 建築基準法 |
問19 | 宅地造成等規制法 |
問20 | 土地区画整理法 |
問21 | 農地法 |
問22 | 国土利用計画法 |
問23 | 登録免許税 |
問24 | 固定資産税 |
問25 | 地価公示法 |
問26 | 契約書面(37条書面) |
問27 | 8種制限 |
問28 | 監督処分・罰則 |
問29 | 免許 |
問30 | 広告 |
問31 | 報酬 |
問32 | 保証協会 |
問33 | 媒介契約 |
問34 | 宅地・建物の定義 |
問35 | 重要事項説明書(35条書面) |
問36 | 免許 |
問37 | 宅建士 |
問38 | 業務上の規制 |
問39 | 保証協会 |
問40 | 契約書面(37条書面) |
問41 | 宅建士 |
問42 | 契約書面(37条書面) |
問43 | クーリングオフ |
問44 | 重要事項説明書(35条書面) |
問45 | 住宅瑕疵担保履行法 |
問46 | 住宅金融支援機構 |
問47 | 不当景品類及び不当表示防止法 |
問48 | 統計 |
問49 | 土地 |
問50 | 建物 |