平成26年(2014年)問1/宅建過去問

(解説について改正民法適用済み)
次の記述のうち、民法の条文に規定されているものはどれか。

1.賃借人の債務不履行を理由に、賃貸人が不動産の賃貸者契約を解除するには、信頼関係が破壊されていなければならない旨

2.当事者は、債務の不履行について損害賠償の額を予定することができる旨

3.債務の履行のために債務者が使用する者の故意又は過失は、債務者の責めに帰すべき事由に含まれる旨

4.債務不履行によって生じた特別の損害のうち、債務者が、債務不履行時に予見し、又は予見することができた損害のみが賠償範囲に含まれる旨


 

 

 

 

 

 

 

【答え:2

 


賃借人の債務不履行を理由に、賃貸人が不動産の賃貸者契約を解除するには、信頼関係が破壊されていなければならない旨

1・・・規定されていない

債務不履行による契約解除についての条文は下記があります。
「当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。」(民法541条本文)

また、別のルールに下記があります。
「賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。そして、賃借人がこれに違反して第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、賃貸人は、契約の解除をすることができる」(民法612条)

しかし、本肢のような「信頼関係が破壊されていなければならない旨」のルールは規定されていません。

ちなみに、「信頼関係が破壊されて契約解除」というのは、貸主に無断転貸(無断で又貸し)した場合の判例を思い浮かべてください!
これとヒッカケています!
判例では、転貸や賃借権の無断譲渡が背信的行為と認めるに足りない事情がある場合は、612条による解除はできないとしています。

※ 背信的行為=信頼関係を破壊する行為(裏切り行為)

612条と判例をまとめると、

原則:無断転貸すると解除できる
例外:信頼関係を破壊するとまではいえない場合は、 解除できない

上記例外は民法の条文には規定されていない判例です!


当事者は、債務の不履行について損害賠償の額を予定することができる

2・・・規定されている

「当事者は、債務の不履行について損害賠償の額を予定することができる。この場合において、裁判所は、その額を増減することができない。」(民法420第1項)
上記の通り、この選択肢は民法に規定されています!


債務の履行のために債務者が使用する者の故意又は過失は、債務者の責めに帰すべき事由に含まれる旨

3・・・規定されていない

「債務者の責めに帰すべき事由」には、債務者自身の故意・過失だけでなく、信義則上これと同視すべきものとして、履行補助者の故意・過失が含まれると考えられています。

ここで気を付けてもらいたいことは問題文をしっかり読むことです。
『「債務者が使用する者」の故意・過失が「債務者の」責めに帰すべき事由に含まれるかどうか』これが民法に記述されているかどうかを質問しています。

具体的にはA社がBを雇っていたとします。
A社がC社に商品を1月末に納品する契約を結んだとします。
この場合、債務者が使用する者=B(従業員)です。
この従業員が故意(わざと)もしくは過失(落ち度)があって1月末に商品を納品できなかった場合、A社の責任になります。
ただし、これは、民法の条文に書かれているのではなく、民法の条文から「このように考えることができますよ!」という解釈の話です。
したがって本肢は民法に規定されていません。


債務不履行によって生じた特別の損害のうち、債務者が、債務不履行時に予見し、又は予見することができた損害のみが賠償範囲に含まれる旨

4・・・規定されていない

民法の条文(416条2項)では下記のように規定されています。
「特別の事情によって生じた損害であっても、当事者がその事情を予見すべきであったときは、債権者は、その賠償を請求することができる。」

つまり、「債務者が、債務不履行時に予見し、又は予見することができた損害のみ」と限定している部分が誤りです。
条文では、「当事者」となっているので、債権者も含みます。


この問題は、4は初出題で分からないかもしれませんが、
2が正しいことは基本事項なので、答えは導けます。
解けないといけない問題ですね!

令和6年度 個別指導開講

平成26年(2014年)宅建試験過去問集

問1
民法の条文
問2
代理
問3
時効・即時取得
問4
抵当権・根抵当権
問5
債権譲渡
問6
担保責任
問7
賃貸借
問8
不法行為
問9
制限行為能力者
問10
相続
問11
借地権
問12
借家権・定期建物賃貸借
問13
区分所有法
問14
不動産登記法
問15
都市計画法
問16
開発許可
問17
建築基準法
問18
建築基準法
問19
宅地造成等規制法
問20
土地区画整理法
問21
農地法
問22
その他法令
問23
登録免許税
問24
不動産取得税
問25
地価公示法
問26
宅地建物取引業の免許
問27
宅建業法総合問題
問28
案内所等
問29
営業保証金
問30
広告規制
問31
8種制限
問32
媒介契約
問33
8種制限・手付金額の制限
問34
重要事項説明
問35
重要事項説明
問36
重要事項説明
問37
報酬
問38
8種制限・クーリングオフ
問39
保証協会
問40
37条書面
問41
宅建業法 総合
問42
37条書面
問43
業務上の規制
問44
監督処分
問45
住宅瑕疵担保履行法
問46
住宅金融支援機構
問47
不当景品類及び不当表示防止法
問48
統計
問49
土地
問50
建物
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