錯誤の場合、善意の第三者が現れても、本人は無効を主張できます。
心裡留保や虚偽表示の場合は善意の第三者に対抗できないことと比較して覚えましょう。
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■問1
表意者自身において、その意思表示に瑕疵(かし)を認めず、民法第95条に基づく錯誤の意思表示の無効を主張する意思がない場合は、第三者がその意思表示の無効を主張することはできない。
(2009-問1-2)
答え:正しい
錯誤による無効は、表意者を保護するための制度なので、原則、錯誤による無効は表意者のみ主張することができます。つまり、「第三者がその意思表示の無効を主張することはできない」という記述は正しいです。
ただ、これだけでは理解したことになりません。「無効」についても、しっかり理解する必要があります。
「個別指導」では本問の具体例だけでなく、意外と知らない「無効の知識」についても解説します。
■問2
Aが、Bに住宅用地を売却した場合の錯誤に関して、売買契約に要素の錯誤があった場合は、Bに代金を貸し付けたCは、Bがその錯誤を認めず、無効を主張する意思がないときでも、Aに対し、Bに代位して、無効を主張することができる。
(2001-問2-2)
答え:誤り
「Bがその錯誤を認めず」という記述から、Bは勘違いをしているが、その勘違いを認めていない(私Bは勘違いしていない!と主張している)状況です。
この場合、表意者Bに無効を主張する意思がないときは、第三者Cは、原則として、無効を主張することはできません。
したがって、誤りです。
関連ポイントとして、
例外として、第三者Cが表意者Bに対する「債権を保全する必要がある」場合、「表意者が錯誤のあることを認めている」ときは、
表意者自らは意思表示の無効を主張する意思がなくても、第三者は、Bの有する無効を主張する権利を使って(債権者代位)、無効を主張することができます。
「債権を保全する必要がある」とはどういうことか?
具体例については、「個別指導」で解説しております。