「時効の完成猶予」と「時効の更新」の重要ポイントと解説

「時効の完成猶予」と「時効の更新」のポイント一覧

  1. 時効の完成猶予事由は、「裁判上の請求(訴えの提起)、強制執行・競売、仮差押え、裁判外の請求(催告)、協議を行う旨の合意、天災
  2. 時効の更新事由は、「裁判上の請求(訴えの提起)、強制執行・競売、承認

「時効の完成猶予」と「時効の更新」について解説します。

「時効の完成猶予」と「時効の更新」は、旧民法では、「時効の停止」と「時効の中断」という言葉が使われておりました。

それが、法改正により、「時効の完成猶予」と「時効の更新」に整理されました。

時効の完成猶予

時効の完成猶予とは、時効の完成が一定期間だけ猶予される、言い換えると、一定期間内に時効期間が到来しても時効が完成しないということです。

例えば、6月10日に時効期間が満了するとします。

そして、直前の6月1日に、「6月10日になると時効完成して債権債務が消滅してしまう!」ということに気づいて、6月2日(=時効完成前)に、裁判上の請求(訴訟)をすると、これにより、時効完成が一定期間だけ(裁判が終わるまで)猶予されます。

つまり、裁判上の請求により、6月10日を過ぎたとしても、時効完成しなくなります。

時効の完成猶予事由

では、どういった場合に時効完成が猶予されるのか?

詳細については、時効の更新とまとめて、下で解説します。

時効の更新

時効の更新とは、これまで経過してきた時効期間をゼロに戻して、再スタートさせることを言います。

例えば、債権の消滅時効期間は、「権利行使できることを知ってから5年」または「権利行使できるときから10年」です。

そして、4年経過後に、裁判を起こして、確定判決をもらうと、これまで経過した4年がゼロにになり、また1日目から再スタートします。

つまり、債権債務の時効消滅する期間が延長してしまうということです。 これがどういったことを言っているのかは、個別指導で解説します。

時効の更新事由

では、どういった場合に時効が更新されるのか?

それでは、「時効の完成猶予」と「時効更新」について、細かく解説していきます。

裁判上の請求

裁判上の請求とは、裁判所に対して訴訟を提起すること(裁判を起こすこと)です。

裁判を起こすと、それにより時効完成が猶予されます。

そして、その後、「訴訟を取り下げたり」、「裁判所に却下された」場合、 取り下げや却下されてから6ヶ月間は時効完成が猶予されます。

もし、確定判決をもらったのであれば(勝訴が確定したのであれば)、その日に時効が更新されます。

強制執行・競売

強制執行とは、債務不履行の債務者に対して、裁判所などの公的機関を通して強制的に取り立てる手続きのことです。

強制執行をすることにより時効完成が猶予されます。

そして、強制執行をしたものの、まだ残債務が残っている場合、その残債務について時効が更新し、時効期間は1日目から再スタートとなります。

競売についても、考え方は同じです。 競売の申し立てをすることにより、時効完成が猶予されます。

そして、競売により、一部勉強を受けたものの、まだ残債務が残っている場合、その残債務について時効が更新し、時効期間は1日目から再スタートとなります。

仮差押え

仮差押えとは、「差押え」前提として、差押えの前にする手続きで、債務者が財産を売却等できないようにロックイメージです。

つまり、ある不動産に仮差押えが付くと、債務者は、その不動産を売却することができなくなります。

そして、仮差押えが付いた場合、仮差押えがなくなってから6ヶ月を経過するまでは、時効の完成が猶予されます。 仮差押えがついても時効は更新されないので注意しましょう!

裁判外の請求(催告)

裁判外の請求とは、催告のことで、例えば、債権者が債務者に対して、内容証明郵便を使って、支払い請求をする行為です。

そして、催告をしてから6か月間は時効の完成は猶予されます。

催告をするだけでは、時効は更新されないので注意しましょう!

詳細については、個別指導で解説します!

協議を行う旨の合意

いつ支払うのか?を債権者と債務者で協議を行う旨の合意を「書面」で行った場合、一定期間時効完成が猶予されます。

この点は非常に細かいので、個別指導で解説します!

しっかり、理解して、頭に入れましょう!

天災

天災とは、例えば、大地震が起こったり、戦争が起こったりした場合です。

この場合、裁判上の請求や競売などをしているときではないので、 天災による障害が消滅してから(戦争が終わってから)3か月を経過するまでの間は、時効完成が猶予されます。

天災があったからといって、時効更新はしないので注意しましょう!

承認

債務者が債務があることを承認した場合、承認した時から新たに時効開始となります。

つまり、債務の承認により時効が更新されます。 上記についてはすべて出題される可能性があるので しっかり細かい部分まで頭に入れておきましょう!

細かい部分については個別指導で解説しますので、本気で合格を目指している方は、一緒に勉強しましょう!

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「時効の完成猶予」と「時効の更新」の問題一覧

■問1(改正民法)
Aが、Bに対する賃料債権につき支払督促の申立てをし、さらに期間内に適法に仮執行の宣言の申立てをし、仮執行宣言を受けたときは、賃料債務の消滅時効は更新される。 (2009-問3-1)

 

答え:正しい

支払督促の申立てをしただけでは消滅時効は更新しませんが、支払督促の申立て後、仮執行宣言を受けると、消滅時効が更新します。したがって、本問は正しいです。 「個別指導」では、支払い督促や仮執行宣言についても詳しく解説しています! コツコツ理解学習を積み上げていきましょう!


■問2(改正民法)
Aが、Bに対する賃料債権につき内容証明郵便により支払を請求したときは、その請求により消滅時効は更新する。 (2009-問3-3)

 

答え:誤り

内容証明郵便により請求(催告)した場合、 6ヶ月間、時効の完成が猶予されます。

催告したからといって、時効が更新されるわけではないので、誤りです。

時効を更新するためには、 上記6ヶ月以内に裁判上の請求等を しなければなりません。

詳細については、個別指導で解説します!
個別指導の受講者様は、受講者専用メルマガで、 関連問題について動画解説をしています。

この動画で理解をしていきましょう!


■問3
建物の賃借人Bが、建物賃貸人Aの賃料債権の消滅時効が完成した後にその賃料債権を承認したときは、消滅時効の完成を知らなかったときでも、その完成した消滅時効の援用をすることは許されない。 (2009-問3-4)

 

答え:正しい

時効完成後の債務を承認すると、完成した時効の援用はできなくなります。 したがって、本問は正しいです。 どういう状況か理解できていますか? この問題は問題文を理解するとともに、解説もしっかり理解した方がよいので「個別指導」では具体的に細かく解説します! 理解しながらコツコツ実力を付けていきましょう!

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