同時履行の抗弁権の重要ポイントと解説

同時履行の抗弁権のポイント一覧

  1. 同時履行の抗弁権を主張できる場合は、債務を履行しなくても債務不履行(履行遅滞)にならない

双方契約とは?

売買契約をすると、下記のようにお互いがそれぞれ債権と債務を持つ形になります。このような契約を双方契約といいます。

債権と債務の解説図です。AがBから土地を購入した場合、買主Aは、土地を引渡してもらえる権利と、代金を支払う義務を持ちます。一方、売主Bは、土地を引渡す義務と、代金をもらえる権利を持ちます。このように、相手に何かをしてもらえる権利を債権と言い、相手に何かをしなけれればならない義務を債務と言います。

同時履行の抗弁権とは?

上記の例において、「土地の引渡し」と引き換えに、「代金の支払い」をする約束をしたとします。お金を借してくれるはず友人からお金を借りることができず、本人Aがお金を用意することができないにもかかわらず、土地の引渡を要求してきた時、相手方Bは土地の引渡を拒絶することができます。
これを、同時履行の抗弁権といいます。

言葉を分解して考えると
やるべきことを同時実行する履行する)約束を理由に、口答えをして、拒否する(抗弁する)ことです。

そして、同時履行の抗弁権を主張できる場合は、例え、債務を履行しなくても債務不履行履行遅滞)になりませんので、覚えてください!

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同時履行の抗弁権の問題一覧

■問1
マンションの売買契約に基づく買主の売買代金支払債務と、売主の所有権移転登記に協力する債務は、特別の事情のない限り、同時履行の関係に立つ。 (2015-問8-ウ)

答え:正しい

売買契約における、買主の「代金支払い債務」と売主の「引渡し債務+所有権移転協力義務」は同時履行の関係に立ちます。

これは具体例があると一番分かりやすいので、「個別指導」では具体例を挙げて解説します!


■問2
マンションの売買契約がマンション引渡し後に債務不履行を理由に解除された場合、契約は遡及的に消滅するため、売主の代金返還債務と、買主の目的物返還債務は、同時履行の関係に立たない。 (2015-問8-イ)

 

答え:誤り

マンションの契約が解除されることで、売主は「受領した代金を返還する義務」を負い、買主は、「マンションを返還する義務」を負います。

この両者の債務は同時履行の関係にあります。

これも、どういった場合に同時履行になるのか?逆にどういった場合に同時履行ではないのかが分かっていれば簡単に解けますね!

この重要ポイントについては「個別指導」でお伝えしていきます!


■問3
マンションの賃貸借契約終了に伴う賃貸人の敷金返還債務と、賃借人の明渡債務は、特別の約定のない限り、同時履行の関係に立つ。(2015-問8-ア)

 

答え:誤り

「建物明渡し」と「敷金返還」は同時履行の関係になく、建物明渡しが先で、建物明渡後、敷金返還請求権が発生します。つまり、同時履行の関係にはありません!

「同時履行の抗弁権」については、どういった場合に同時履行になるのか?逆にどういった場合に同時履行ではないのかも頭に入れておく必要があります。


■問4
売主Aは、買主Bとの間で甲土地の売買契約を締結し、代金の3分の2の支払と引換えに所有権移転登記手続と引渡しを行った。その後、Bが残代金を支払わないので、Aは適法に甲土地の売買契約を解除した。Bは、自らの債務不履行で解除されたので、Bの原状回復義務を先に履行しなければならず、Aの受領済み代金返還義務との同時履行の抗弁権を主張することはできない。 (2009-問8-3)

 

答え:誤り

契約が解除された場合の売主の「原状回復義務」と買主の「原状回復義務」は同時履行の関係にあります。

つまり、契約解除されることで、売主は「受領した代金+利息」を返還する義務を負い、買主は、「甲土地および甲土地を利用した利益部分(例えば土地の利用料)」を返還する義務を負います。この両者の債務は同時履行の関係にあります。したがって、「Bの原状回復義務を先に履行しなければならず」という記述は誤りです。

個別指導」では、他分野に渡った関連ポイントについても記載しています。

効率よくつなげて学習を進めていきましょう!


■問5
AはBとの間で、土地の売買契約を締結し、Aの所有権移転登記手続とBの代金の支払を同時に履行させることとした。決済約定日に、Aは所有権移転登記手続を行う債務の履行の提供をしたが、Bが代金債務につき弁済の提供をしなかったので、Aは履行を拒否した。Bは、履行遅滞に陥り、遅延損害金支払債務を負う。 (2006-問8-1)

 

答え:正しい

履行の提供をすると、相手方の同時履行の抗弁権を失わせることができ、債務不履行を主張できます。

したがって、「Aは所有権移転登記手続を行う債務の履行の提供をしたが、Bが代金債務につき弁済の提供をしなかった」ということは、買主Bは債務不履行に陥っています。したがって、Bは履行遅滞(債務不履行)となり、遅延損害支払債務を負います。
これも理解した方がいいですね!

何をどのように理解するのかを「個別指導」でお伝えします!


■問6
Aが、平成4年8月、Bに土地を賃貸し、Bがその土地上に建物を所有している場合、Bが適法にAに建物買取請求権を行使すると、その所有権は直ちにBからAに移転するが、BはAが代金を支払うまで、建物の引渡しを拒むことができる。 (2002-問13-4)

 

答え:正しい

「借地権者Bの建物の引渡し債務」と「借地権設定者Aの代金支払債務」は同時履行の関係になるので、借地権設定者Aが代金を支払うまで、借地権者Bは建物の引渡しを拒むことができます。したがって、本問は正しいです。

この問題については、具体例を示すと分かりやすいです。また「同時履行の抗弁権」については、どういった場合に同時履行になるのか?逆にどういった場合に同時履行ではないのかも頭に入れておく必要があります。

これら重要なポイントについては「個別指導」でお伝えしていきます!

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