平成30年(2018年)問1/宅建過去問

AがBに甲土地を売却した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

1.甲土地につき売買代金の支払と登記の移転がなされた後、第三者の詐欺を理由に売買契約が取り消された場合、原状回復のため、BはAに登記を移転する義務を、AはBに代金を返還する義務を負い、各義務は同時履行の関係となる。

2.Aが甲土地を売却した意思表示に錯誤があったとしても、Aに重大な過失があって無効を主張することができない場合は、BもAの錯誤を理由として取り消すことはできない。(改正民法に伴い問題文を一部変更)

3.AB間の売買契約が仮装譲渡であり、その後BがCに甲土地を転売した場合、Cが仮装譲渡の事実を知らなければ、Aは、Cに虚偽表示による無効を対抗することができない。

4.Aが第三者の詐欺によってBに甲土地を売却し、その後BがDに甲土地を転売した場合、Bが第三者の詐欺の事実を過失なく知らなかったとしても、Dが第三者の詐欺の事実を知っていれば、Aは詐欺を理由にAB間の売買契約を取り消すことができる。(改正民法に伴い問題文を一部変更)


 

 

 

 

 

 

 

【答え:4】


1.甲土地につき売買代金の支払と登記の移転がなされた後、第三者の詐欺を理由に売買契約が取り消された場合、原状回復のため、BはAに登記を移転する義務を、AはBに代金を返還する義務を負い、各義務は同時履行の関係となる。

1・・・正しい

まず、AがBに甲土地を売却し、「売主Aは買主Bに移転登記をし」、「買主Bは売主Aに代金を支払っています」。

その後、第三者から詐欺を受けたとして売買契約が取り消されました。

契約が取り消されたので、AB双方は、原状回復義を負います。

具体的には、
「買主Bは売主Aに登記を移転する(所有権を戻す)義務」を負い
「売主Aは買主Bに代金を返還する義務」を負います。

この2つの義務は同時履行の関係にあるので、売主・買主は同時に義務を履行することになります。

この問題は、関連問題として、よく間違える内容があります!
その点については、個別指導でお伝えしますので、併せて頭に入れておくと効率的です!


2.Aが甲土地を売却した意思表示に錯誤があったとしても、Aに重大な過失があって無効を主張することができない場合は、BもAの錯誤を理由として取り消すことはできない。

2・・・正しい

AがBに甲土地を売却した。そして、Aに「錯誤」があり、Aは、錯誤(勘違い)について「重大な過失があった」状況です。

錯誤による取消しは、原則、勘違いをした表意者Aです。

相手方Bは錯誤による取消しはできないので本問は正しいです

この問題は錯誤に関する基本的な問題ですが、少し問題文を変えるだけで多くの人が解けない問題になります。

通常レベルの本試験では、「問題文を少し変えた問題」の方が出題されやすいので、この問題も解けるようにしましょう!

この類題については個別指導でお伝えします!


3.AB間の売買契約が仮装譲渡であり、その後BがCに甲土地を転売した場合、Cが仮装譲渡の事実を知らなければ、Aは、Cに虚偽表示による無効を対抗することができない。

3・・・正しい

仮装譲渡」と記載されていたら「虚偽表示」と置き換えて考えましょう!同じ意味です。

虚偽表示は無効なので、AB間では無効です。しかし、第三者Cが現れた場合、話が異なります。

第三者Cが善意であれば、第三者が保護され、「AおよびB」は、Cに対して無効を主張できません

したがって、Cが仮装譲渡を知らない場合は、AはCに対抗できないので、本肢は正しいです。

本肢は、理解していただきたい部分があるので、その点を個別指導で解説します!

 


4.Aが第三者の詐欺によってBに甲土地を売却し、その後BがDに甲土地を転売した場合、Bが第三者の詐欺の事実を過失なく知らなかったとしても、Dが第三者の詐欺の事実を知っていれば、Aは詐欺を理由にAB間の売買契約を取り消すことができる。

4・・・誤り

平成30年問1-4:宅建過去問解説

問題文の状況は図の通りです。
①第三者がAをだまして、②AがBに甲土地を売却した。
(Bは詐欺の事実をしらない:善意)
その後③Bが詐欺の事実を知っているDに甲土地を売却

①②までを考えると、「第三者詐欺」のルールが適用できます。

つまり、第三者によって詐欺を受けて売却した場合、詐欺の事実を相手方Bが過失なく知らなかった時、騙されたAは保護されない=AはAB間の契約を取消できない

つまり、AB間の売買契約は確定的に有効(取消はできない)となるので、Bは有効に所有権を取得します。

それを、Dに売却しているので、Dが「Aが詐欺を受けていたことを知っていても、いなくても関係なく」、Dは所有権を取得できます。

したがって、本問の「Aは詐欺を理由にAB間の売買契約を取り消すことができる」は誤りです。

令和6年度 個別指導開講

平成30年度(2018年)宅建試験・過去問

問1
意思表示
問2
代理
問3
停止条件
問4
時効
問5
事務管理
問6
法定地上権
問7
債権譲渡
問8
賃貸借(判決文)
問9
相殺
問10
相続
問11
借地権
問12
借家権
問13
区分所有法
問14
不動産登記法
問15
国土利用計画法
問16
都市計画法
問17
都市計画法(開発許可)
問18
建築基準法
問19
建築基準法
問20
宅地造成等規制法
問21
土地区画整理法
問22
農地法
問23
登録免許税
問24
不動産取得税
問25
不動産鑑定評価基準
問26
広告
問27
建物状況調査
問28
業務上の規制
問29
8種制限
問30
報酬
問31
報酬計算(空き家等の特例)
問32
監督処分
問33
媒介契約
問34
37条書面
問35
35条書面
問36
免許
問37
クーリングオフ
問38
手付金等の保全措置
問39
35条書面
問40
業務の規制
問41
免許の要否
問42
宅建士
問43
営業保証金
問44
保証協会
問45
住宅瑕疵担保履行法
問46
住宅金融支援機構
問47
不当景品類及び不当表示防止法
問48
統計
問49
土地
問50
建物
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